スマトラ島の西岸に沿ってニアス島の南にムンタワイ諸島が連なっている。いまは大陸プレートのぶつかる地震頻発地帯として知られる。シベルト島はムンタワイ諸島中最大の島、面積4030平方キロ(およそ滋賀県の面積に匹敵)。ニアス島が高密度に集住する大集落を築いてきたのに対して、ムンタワイ諸島は外界からのアクセスがむずかしく、島の大部分をおおう熱帯雨林のなかで原住民の多くはいまも採集狩猟生活をおくっている。
彼らの社会活動の中心にあるのが uma と呼ばれる高床のロングハウスである。同一の祖先をもつ父系親族のメンバーがあつまって住まう共同家屋で、2~5家族の住む uma を祭祀活動の中心として、核家族の住む複数棟の家屋 lalep によって社会が構成されている。この社会単位をやはり uma と呼び、uma を超える社会制度はムンタワイには育たなかった。
建築空間としての uma は3つの部分から構成されている。建物正面の壁のない吹放ちのベランダ空間 Kalaibo、屋内の中の間 Katengan Uma とその奥につづく奥の間 Paipai Uma である。
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South SIBERUT
シベルト島南部の村々の多くは2013年現在オートバイでアクセス可能な場所にある
SAKALIOU 2013
シベルト島は2007年9月のスマトラ島南西沖地震、2009年8月の西スマトラ沖地震の震源にあたる。以降に建設された家屋 uma では、高床が低くおさえられ、部材の接合には結縛にかわって釘が多用されている
おなじ氏族 suku の者があつまって住まう uma。数家族が共同生活をおくる経済単位になっている
uma の空間は3つの部分からなる。梯子をのぼり、場合によってはアプローチの前廊を介して壁のない吹放ちの
Kalaibo、屋内にはいると中央の間
Katengan Uma、さらに奥の間
Paipai Uma がつづく
前廊はないことも多い。
Kalaiboと一体のもの
Kalaibo は日常作業の場、家族の日中の居場所になっている
柱は末口が上を向くように、横架材は材の末口が向かって左、かつ正面に向かうように配する
中央の間
Katengan Uma は祭祀のさいに踊りをおどる場所。男性成員の寝所
中央の間に炉をもうける場合、裏手の炉に対して男の炉
abu simentau と呼ぶこともある
家屋の裏手にある
Paipai Uma はおもに女性成員の寝所
ふたつある炉は向かって右手が女の炉
abu sinanalep、左手が男の炉
abu simentau
男の炉ではおもにブタ、シカ、サルなどの肉を調理する
女の炉ではサゴやイモなどの穀物、野菜を調理する
家屋の裏につづく出入口
祭祀の中心家屋である uma に対して、uma に帰属していても家族単位に住む lalep がある
UGAI 2013
MATOTONAN 2013
2013
They were formerly used as uma longhouses by the Sakuddei tribe before they were forced to abandon their traditional way of life through government intervention in the 1950s and 1960s. Since then, some attempts have been made to re-establish them in their former areas of settlement.
Uma longhouse - Wikipedia
The Mentawaians believe that all living objects, men, plants and animals are supposed to have spirits. The only specialist in the community is the medicine man, KEREI, responsible for communication with the spirits and the souls. In case of misfortune or illness, he is called in to restore harmony within the group or in relation with the spirits in the environment. An elaborate Taboo system based on religious beliefs with respect to the environment is a dominant characteristic of traditional life on Siberut.
サゴ澱粉の採取:平成版
サゴヤシ
sagai [Metroxiron Sagu] からとれるサゴ澱粉は森の民であるシベルト島民にとってタロイモとならぶ主食。居住地の周辺ではサゴヤシが集約的に栽培されている
サゴヤシを斧で切りたおし、1メートル程度の長さに切り分ける
サゴヤシの葉は貴重な屋根葺材。切り裂いて屋根パネルの材料に
切り分けたサゴヤシを割り裂いて樹幹のサゴを取り出す
エンジンのついた粉砕器でサゴを粉砕
粉砕し終えたサゴ。かつてはここまで手作業だった
粉砕したサゴを川のほとりの濾過場にはこぶ
竹のスノコの上に木枠を組み、そのなかで粉砕したサゴに水をかけながら足で踏む。スノコを通ってきた澱粉液は、さらに布で濾してから木桶(丸木舟)にうける
木桶に沈殿したサゴ澱粉をあつめて1.2メートルの長さのサゴ容器 ka-tapri にまとめる。1日に二人がかりで作業して 2 ka-tapri を収穫。1 ka-tapri あれば一人一ヶ月分の食事がまかなえる
出来上がったサゴ澱粉は、サゴヤシの葉でチマキ状にくるみ、焼いて食べる
狩猟採集をおこなう他の民族例では、サゴ澱粉に湯をくわえてまぜ、糊状にして食べるのが一般的なサゴの調理法だろう。Sula諸島Taliabu島
bebeget : トウの一種でいまは家具用に栽培も試みられている。割り裂いて部材や屋根の結縛に使用。
長く美しい鳴き声で知られる Murai Batu の自生地でもある
シベルト島アクセス情報 2013年版
日本ではあまり情報がないようなので簡単に紹介。
シベルト島南東岸のMuara Siberutが調査の基点。
パダンからの船は木造船の Sember Rezaki Baru が市内の Muara 港から毎週月曜、鉄製のフェリー AmbuAmbu (2013年中に新造船が就航予定)が20キロ南の Teluk Kabang 港から毎週木曜に出港。出港はいずれも夜で、天候がよければ翌日早朝には(午前4時頃には着いて6時まで外海で待機)Maileppet 港(Muara Siberut までは約2km、オジェで25Krp)に着岸。おなじ日の夜に(火曜と金曜)シベルトを発ってパダンへもどる。西欧人乗客も多いがほとんどはサーフロッジのツアー。
チケットは出発当日に港で購入。料金はかなりのボロ船 Sember Rezaki Baru が105Krp、4人部屋のベッド145Krp(エアコンのない息苦しいだけのたこ部屋。それでも午前中にチケットを手配しないとなくなる)、AmbuAmbu は80Krp(ベンチ席)、VIP(ベッド状)120Krp、エアコン、テレビ付きの部屋は乗組員との交渉で+600Krp。
Muara Siberut には数軒の安宿と商店街があり、旅行者もふつうに暮らせる。携帯電話の電波は Maileppet 周辺が良好、Muara Siberut では3G回線は使えない。TICもあるにはあるがMonster House風の外観はダテじゃない。なかば倒壊中。。。
南シベルトの村々はたいていオートバイでアクセス可能。奥地の Sakuddei へはいまもガイドをともなうトレッキングが必要。沼沢林を歩くのはよほどの覚悟がいる。