民族名 | ビダユー / Bidayuh | OWC | OC08 | OCM | |
地域名 | ボルネオ島(マレーシア) | 座標 | 1.440128, 110.074284 |
ボルネオでは多くの民族が川沿いにロングハウスを建てて生活圏を築いていた。ビダユーはボルネオ島南西部(マレーシア・サラワク州とインドネシア・西カリマンタン州の国境地帯)に居住する民族で海ダヤク(イバン)に対して陸ダヤクとも呼ばれていた。ロングハウスのほかに首狩りした首級を納める円形の男性集会所 Baruk をもつことで知られる。
Baruk (Panggah / Baluhともいう。Bori は家の意) はビダユー社会に固有の建築で、首狩りで得た敵の首級を飾ることから一般に head house 頭蓋舎と呼ばれている。訪問客や未婚男子の寝場所であると同時に村の集会所でもあった。円形の屋内には武器や太鼓、銅鑼などが保管され、非常時には戦士がここで寝泊まりしたという。稲の収穫後におこなわれる盛大な新年祭 gawai の舞台となる村の中心施設である。
伝統的な頭蓋舎は1980年代にはボルネオ全域で姿を消した。Opar村の頭蓋舎は現存する最後の例で、直径約13m、棟高約9.5m、床高1.5mの高床建築。外壁に沿って50cmの高さのベンチ状の床がめぐり、中央には炉 Abuh の設備がある。炉を囲むように4本の主柱 tiang pilopus が立ち、小屋裏で中心柱 dois bungan を支えている。円錐形の屋根はサゴヤシ葺き、14箇所の天窓をもつ。建物は1988年に改修を受け、外壁をメランチ(フタバガキ科)の樹皮から板壁に、床を竹の簀の子から板床に変更した。
屋内には西側のベンチ上に祖霊の宿る神聖な一画 Akat Bating がある。頭蓋骨は南側のベンチ上の一画 Akat Guna にある鳥居形の梁に吊されている。gawai 儀礼の際には、東側の外壁をあけ、安置された頭蓋骨は3人の選ばれた男たちの手で屋外に設けた露台に移された。